憎しみの連鎖は、断ち切れるのか。
人間とロボットが<共生>する時代。
強大なロボットが次々に破壊される事件が起きる。調査を担当したユーロポールの刑事ロボット・ゲジヒトは犯人の標的が大量破壊兵器となりうる、自分を含めた<7人の世界最高水準のロボット>だと確信する。
時を同じくしてロボット法に関わる要人が次々と犠牲となる殺人事件が発生。<ロボットは人間を傷つけることはできない>にも関わらず、殺人現場には人間の痕跡が全く残っていなかった。
2つの事件の謎を追うゲジヒトは、標的の1人であり、世界最高の人工知能を持つロボット・アトムのもとを訪れる。
「君を見ていると、人間かロボットか識別システムが誤作動を起こしそうになる。」
まるで本物の人間のように感情を表現するアトムと出会い、ゲジヒトにも変化が起きていく。
そして事件を追う2人は世界を破滅へと導く史上最悪の<憎しみの存在>にたどり着くのだった―――。
浦沢直樹
Naoki Urasawa
60年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の「心の漫画」となった『鉄腕アトム』の挿話『地上最大のロボット』。
この作品のリメイクがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな「心の作品」の誕生に心躍っています。
今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように。
長崎尚志
Takashi Nagasaki
60年前、『PLUTO』の原作『地上最大のロボット』が誕生した。
最強の戦闘能力を持つロボット達が競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年達は熱狂した。アトムファンというより『地上最大のロボット』ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。
手塚 眞
Macoto Tezka
ついに、やっと、『PLUTO』がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。